三行広告の「クレイグス・リスト」

クラシファイド広告とは求人や賃貸物件、「売ります・買います」などの案内広告だ。もともとは新聞独特の広告手法だった。掲載料が数十~数百ドルと安いのが特徴。欧米では新聞の週末版に別刷りとして発行するなど人気が高かった。

米国において、クラシファイドサイトの火付け役は1995年にIBM出身のクレイグ・ニューマーク氏が立ち上げた「クレイグス・リスト(Craigslist)」だった。米調査会社コムスコア・メディア・メトリックスによると、2005年9月の利用者数は2004年9月比156%増の870万人だった。利用者数・伸び率とも業界最大だった。

個人は無料~ネット上の口コミで評判が広がる

サイト立ち上げ以来、原則として個人の広告出稿は無料。有料の企業広告を収入源にして、個人利用者を着実に増やした。

検索機能もネットならではの特長だった。当初はサンフランシスコ地区だけが対象だったが、ネット上の口コミで評判が広がり、今では36カ国190都市に広がった。

前年比40%増

2000年代に、クラシファイドサイトは急増した。クレイグスの人気に触発されたのだ。米インターネット・アドバタイジング・ビュロー(IAB)などの調査では、クラシファイドサイトの2004年の市場規模は2003年比40%増の17億3300万ドル(約2000億円)になった。新聞のクラシファイド広告の2004年市場規模は2003年比5%増の166億ドルと伸び悩んだのとは対照的だった。

新聞社が共同出資で広告会社を設立

新聞各社は対抗上、自らサイト運営に乗り出した。ガネット、ナイト・リッダー、トリビューンなど新聞グループ大手3社などは共同出資会社、クラシファイド・ベンチャーズを設立した。

賃貸や自動車

新聞3社は、クラシファイド・ベンチャーズを通じ、賃貸物件の「アパートメンツ・ドット・コム」や自動車関連の「カーズ・ドット・コム」の運営を始めた。各新聞サイトにもリンクをはり、広告欄の検索機能を充実させるなど、紙面からの広告収入を補った。

印刷物のわずか4.5%

米ニールセン・ネットレーティングスが2005年10月に実施した調査では、新聞のサイト利用者数は2004年10月比11%増の3930万人だった。全米新聞協会(NAA)の発表では、全米主要紙の2004年7月~9月期のネット広告収入は5億1800万ドルだった。2003年7月~9月期比26.7%増加した。新聞各社の巻き返しは順調に見えた。しかし、ネット広告収入は印刷した新聞からの広告収入のわずか4.5%に過ぎなかった。